2014年6月21日土曜日

第7回「イリクンデパーティ」レポート

今回も順調に,「おもちゃショー」だったり,「ミスボド」だったり,ゲーム製作者大座談会だったりという裏の裏の裏での開催でした.

そして故あって今回から場所が変わりました.(厳密には微妙に変わってましたが)

ゲムマ後に場所取りしたということもあり,色々なめぐりあわせで京急線戸部駅近くにあるコミュニティ施設を借りました.部屋は和室で,採光も良く,10人程度なら丁度良い広さで,とても良い会場でした.問題は立地ですかね.なにしろ遠いですね.ウチから(ぇ

今後は落ち着ける場所を探して色々な場所を試していく予定ですので,丁度良いところで開催されたときには是非参加を検討していただければなと思います.

さて,今回も最終的には参加者10人でした.

それでは,遊んだゲームの様子など.

 

  • ニムト20周年記念版(Amigo)
  • ニムト

全員が出来るゲームをやろうということで,多人数でどうなるのか気になっていたこれを立卓.6人ぐらいで説明を始めたと思ったんですが,結局9人でやることになりました.9人!懐が広いゲームはまったく有用です.

さてどうなるかと思いましたが,確かに人数が多くてどう転がるのか予想がつきにくいところがありました.大丈夫だろうとタカをくくって出すと予想以上にカードが積まれバースト!とか.

しかし,予想できない部分は同時にメリットにもなっているように感じました.まず,盛り上がる.オープンしてから自分が安全に出せる瞬間までのドキドキ感,上手く抜けられたときの嬉しさと,自分がバーストさせたときのなすすべなく“事故”に合ったような悲壮感がなんともいえません.

場のどのカードよりも小さい数字のカードを出して好きな1列を受け取るという,いわゆる降りる戦略が取れますが,人数が多いと他の人も降りようと思っている可能性が高いため,その辺を嗅ぎ分けて微妙な大きさのカードを消費したりといったことが上手くいきやすくなります.でも,中途半端にやるとちゃんとダメになるんですよね.面白い.(もちろん全員がそういう価値観を共有してしまうと運ゲーになってしまうんですが,参加者がたくさんいると全員が全員そうなることは稀です.)

続けて行った二回戦では,「0.x」の小数点カードを入れてプレイしました.多人数だとあんまり機能しなくなるかと懸念していましたが全然的外れ.嬉しい誤算でしたがこれも十分に(むしろ多人数のほうが良いぐらいに)機能していて面白かったです.

まず,小数点カードを使うことの安心感がほとんどありません.全員同じことを考えるからです(笑)

まず安心感という意味で,都合10ラウンドで遊ぶ本作で,例えば序盤に数人が小数点カードを使うと小人数の場合はあとはほぼ普通のゲームです.しかし,人数が多い時は,序盤に小数点を使っても被る危険性が高いのでとても使用しにくく,結果として終盤まで小数点カードを何人かが持っている状態が維持されやすくなります.

小数点カードのなかでも大きさが0.0~0.9とバラつきがあるので,小さいほど安定感があるのですが,大きいのを持っている人はちと辛いです.小数点カード同士でバッティングしないならこの辺は些細なものですが,常にバッティングの危険性がある多人数戦ではよく利いてきます.

感覚だけで言えば,小さい小数点カードほど安心なので前のラウンドでも使いやすく,それらが使用された結果,後半になるにつれて大きい小数点カードが使いやすくなるといったところでしょうか?

ここまで色々と言いましたが,大人数でやると勝利ラインは0点になるので,“降り”てる場合じゃないんですね.

それが,ちょうど「二番目に小さい数字を出すゲーム」みたいなインセンティブのあるものに繋がって,より悩ましいゲームにさせているんじゃないかと考えました.どうでしょうか.

(む,単独レビューにしても良いような量になってしまった.)

 

  • ファブフィブ(NGO)
  • ファブフィブ

まーたキタ!結局コレ!多人数オープニングゲームの大定番.

このゲームもこの人数は初めてかもしれない,9人プレイ!

ファブフィブ

心の清くない私はサックリと一抜け.

せ,席順のせいやろ!!

そういえば,シュリンク開封したばかりのファブフィブだったんですが,裁断がすごく良くないカードが少し混じっていましたね.やろうとすれば,カード内容が分かっちゃうから場合によっては致命的ですす.(ナメクジ勢にはあまり関係ありませんが)

これって言ったら交換してくれるんですかねえ?

 

そろそろ多人数のネタも尽きたところで,2人,8人に分かれて(極端!)遊びました.

 

一方ではあてずっぽうの探偵ゲームを遊んでいましたが,こちらでは不思議な二人対戦ゲームを遊びました.しっぽりと.

一言で言えば,極小ヘックスフィールドでやる軍人将棋,みたいな感じ.

基本的には,裏向きでユニットを進行させて相手と同じマスに侵入したらオープンして強弱関係を比べて負けるかアイコで除外,1ターン1体だけ動かす(前方か横移動のみ)ことを繰り返し,一番奥のマスへの侵入を目指します.

七人の部下たち

上の写真のように自分の任意のユニットを任意の場所に並べます.

最初から全部裏向きだと考えようがなくどうしようもないのですが,このゲームでははじめに,並べずに残ったカードの内で1枚を選んで同時にオープンしてバトルします.これは「名刺交換」と言うそうです(笑).何を隠そう部下同士の争いをテーマにした(?)ゲームですからね.名刺交換ではそのユニットの強弱を比べて勝った方が,真ん中のヘックスに表向きで配置されます.負けたほうのプレイヤーが先攻となってユニットを動かします.

さて,真ん中の正体が分かっているユニットに対して,アタック(その同じマスに侵入)できるのは三択です.確実に勝てるユニットをぶつけて数の不利を解消するのは良いことです.でも順当に取り合ってしまうと負けてしまいそうです.どうしましょうか.

初期配置とブラフが重要かなと思います.攻め駒に対して最低限交換になるようにいわゆる利いている駒を作るのは定石ですが,もし本当に利かせている駒ならば例え裏向きであってもそれに敵うカードが絞れるわけです.この辺りの読み合い,布石の置き方は面白いなと思います.

ただ,どんなに布石を置こうが,相手には同じに見えるし,相手のも同じように見えるというのが,少し惜しいというか.裏では色々企んでるのに展開が乏しく見えるように感じます.

また,三本先取で一本取るごとに,得点表示も兼ねてユニットを1体除外するのですが,これで選択の幅が少し狭まるのも上記の感覚を強めているように感じます.もちろん,勝ち越しているプレイヤー側が少し制限がかかり不利になるような効果がありますし,ユニットが減った後になるほど不確定要素が減るのでより読み合いの側面が強くなる効果もあるというのは良い効果だと思います.

しかし,今回のプレイではたまたま僕が二戦先取したため,もつれにもつれて最終第六戦に至るまでずっと同じユニット群で戦うことになったため,単調な印象をより強く受けてしまいました.

あと,勝負がつかないことがありそうな点については多少の懸念があります.実際一戦は引き分け(ユニット同士の相討ちが起こったため)て,三本先取のところ六戦までやることになりました.相討ちなら先攻が勝つみたいなルールがあっても良かったかもしれません.後攻(=ユニット数が多いほう)がかなり有利っぽいですからね.

そんな起きてもいないことに対する懸念なんかよりもコレですよ.

七人の部下たち

超ハイコントラストのカードに描かれたワイヤーフレームのキャラクター(部下)たちの自由気ままな雄姿,と薄っすらと併記されている苗字w オールユニークです.(YAMAUCHIさんにはとてもお世話になりました)

カードの印刷が名刺だから思いついたんじゃないかと邪推できるテーマだし,システムとマッチしてるわけでもありませんが,プレイ感としてはこの何とも言えない軽い感じのノリで遊ぶのが正しいのだと思います.そういう意味では正解かなー(偉そう).

ここまでなら,無駄に凝ったな,程度だったんですけどね.

七人の部下たち

コレですよ.説明書と同じ分量ある,七人の部下たちの世界観を綴った「マニアックス」が同梱されていますw

ここまで凝られると天晴れw 情熱を感じ,好印象です.

 

GM終了後各所で次々と話題になった大怪獣コトバモドスをプレイしました.

別名,妖怪コトバモドシ(嘘)

またの名を,もどしちゃうおじさん(大嘘)

大怪獣コトバモドス

さておき,これ,イイです.

ワードゲームと聞くとインスピレーション優先みたいなものが多くて,毛嫌いする部分が少なからずあるんですが,これはどっちかと言えばワードパズル.問題作成者が作った三文字の三つの言葉,をバラバラにした計九文字から三つの単語を復元します.

パズルですねー.元タイトル「ワードウボンゴ」の名も伊達じゃないです.

そういうシステムなので最低限のボキャブラリーが得点に直結するため,対象年齢は高めかなと思います.まーその辺の心配は,子を持つ父母ゲーマーさんの工夫に任せるとします.(単純に子供同士,大人同士で遊べばいいのか)

良く出来てると思うのは,ワードゲームをほぼパズルにしてしまった所以外だと,得点に関してです.(というか残りそこしかないですが)

問題作成時と回答時にいくつかの得点方法があります.(1)問題作成を一番早く終えた人に得点1.(2)問題を一番早く解いた(正解かどうかはともかく三つの言葉に復元)人に得点3.(3)問題を解けた人(最初に解いた人から砂時計で1分測り終えるまでに復元)にも得点1.(4)復元した単語を答え合わせして1個合うごとに得点1.かなり単純です.

結論から言うと(2)のウェイトが高く,強力で,これによって点差が開きすぎる恐れがある(パーフェクトで正解するのと同じ点数),(1)の問題作成はいくらでも時間がかけれるので場合によってテンポが損なわれる,という点以外は概ねよく利いていると思います.多分後者については上級ルールかなにかで補完されている気もします.(2)もそう簡単に急いで復元できるわけではないという意味では問題でないかもしれません.

(1)を狙いすぎるととんでもなく簡単なワードが出来てしまい,結果的に相手に大量得点を許すことになります.かといって捻って捻って難しい問題を作ると,時間もかかりますし,認知度的に微妙な言葉を採用すると答え合わせの時にたまらない空気に晒されることになり,迂闊に変な単語は組み込めません.この辺りは作者がコミュニケーションゲーム慣れしてるなあと感じるところです.

(2)はそう簡単に復元できない点で配点が高いのも良いですが,何よりこのゲームの主題は「コトバモドス(言葉戻す)」ですから,とにかく戻せることが重要という意味で,ここの配点が高いのは十分納得できます.言葉戻すのが主題ならちゃんと当てないとダメだろ!という意見もあるかと思いますが,当てられるかどうかになると,どうしようもなく運に依存しています.例えば「ろぎん(路銀)」と「ぎろん(議論)」はどっちも「ろ」「ぎ」「ん」から成っていますが,どちらかを選んで当てるのは結構な至難です.それよりも戻すことに重きを置いたのは正解だと思いました.

とはいえ,当てる部分に配点がなければ,問題の作り甲斐もないので,(4)のように1個1点ぐらい与えるのはちょうどいいのではないかと思います.

あれこれ言いましたが,勝ち負けなんて二の次で,楽しけりゃいい系のゲームで,楽しさを引き出すために邪魔しないだけの配点ルールがある点がとても良いという感想でした.

ワードゲームの定番化,あると思います.

なんにせよ,語呂がいいよね「コトバモドス」って.

大怪獣コトバモドス

優勝がかかった最後の問題で例えこんな問題を振られても,プレゼン次第では異議を取り下げられる緩さで遊べます.楽しかったです.

以下プレゼンの内容.

C「昨日医者に言われたんだよ『う~ん,元気みたい』って」

なんじゃそりゃwww

 

ワリトリペンギン

前々から気になっていたゲームです.初プレイ.

全員同時,2アクションプロットから,1アクションずつを複数いるペンギンの一方に適用しながら,流氷を割って得点を稼ぐゲームです.

コンポーネントのまとまりもよく,システムのまとまりもとても良いです.二体いるペンギンの好きな方を操って氷を割るというどこかで聞き覚えのある響きも,受け取り方次第では安心感に変わります.そんなすごくゲーム制作慣れしている作者が浮かんで見えそうなタイトルでした.

ルール聞いた時点では,誰かの得点のタイミングで邪魔や横取りをを企てたりする類のゲームだと感じ,それまではとりあえず適当に真ん中付近で過ごすことでどこへでも駆けつけるようにプレイしました.結果,上手く絡めたような気がしましたが,適当に中心付近をつついていた布石に気付かず小さないざこざにかまけていたら,唯一経験者のプレイヤーに9枚割(12枚?)を達成されあえなく撃沈しました.

ワリトリペンギン

結果,たまたま,取り残された自分のペンギンの状況を見てやったぜ!全部俺の氷だぜ!と歓喜したところ,これはこのままで終わり,というルールにちょっとガックリ.まーどの道,過半数取られてて負けだったのですが,悔しいです.集中力を鍛えねば。

赤ずきんも実は未プレイなのですが,どちらの作品もライトな層へとビシッとターゲティングしてプロダクトされている辺り,僕はすごく感心しました.

 

  • コレクションゲーム(テストプレイ)

3人でもう一つ軽いものをやりたいと思い,数あるゲームを押しのけて,サクッとテストプレイにお付き合いいただきました.

初めて回してみて,なんとも不思議な感触でした.なんとも不思議.この感じはダメなヤツだ!悪くないんだけど...ってヤツ.

惜しい気もするので時間を見つけて再考したいと思います.

コレクションゲーム

後日,とりあえずトランプで試したものとは別にカードを試作してみた.

けどイマイチだったかな...

 

  • Istanbul(Pegasus)

イスタンブール

隣りの卓のメンバーが空いたのを見計らってのイスタンブールを立卓.

迷ったのだけど,このゲームをイントロダクションしたかったので初級マップでやりました.初級マップのいいところは,良いストリームがいくつか用意されてて,それに乗ることと乗継をいかに上手くやるかがポイントになるため,そうできた人と出来なかった人とで明暗がくっきり分かれるところでしょうか.

これによって勝因敗因,勝ち筋がしっかり見極められればあとは,マップを組み換えて楽しむというのが良い遊び方だと思います.

というわけでイントロダクションとしては大成功と言えるのでは.というぐらいに明暗が分かれたセッションになりました.

イスタンブール

終了時の二人の負け組の無残な屍(汗)

 

  • 俺のレガシー(テストプレイ)

アレです.新しいアクションを引っさげてアレンジされていました.

面白いかは別にして,システムとしては上手く回っていたように思う.

コレ系のゲームは僕がだいたいプレイングミスをやらかしますが,ちゃんと集中すれば人並みには戦えるんですよ!(何の自慢にもなってない^^;)

 

  • インディアンウサポ(???)(テストプレイ)

テストプレイ

凄く引き締まってきた感じがします!

カード構成やらが変化いている今だけなのか,毎回面白く遊んでいます.

ただこれ何が面白いのか正直よくわかんねーんですよね.でも確かに面白いんだから,何かこう僕の認知していない新しい観点のものが働いてるんじゃないかと思っています.

そういう訳で僕はこれが一般的にウケるのかどうか全く読めないのですが,そんな中でこのゲーム,イリクンデ史上,最大規模に展開していくとかしていかないとかいう話があります.

 

 

そんなわけで,遠くの方から遊びに来ていただいた方やそうでない方もお疲れ様でした!

7時間は長そうでメッチャ短い!

次回,どこになるかもわかりませんが,また遊びましょう^^

 

誤字・脱字,御免!

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その他のレポートコーナー

イリクンデパーティー8 行ってきました : ショーナンロケッティアズ STAND ALONE BLOGLLESIV

2014年6月6日金曜日

第7回「イリクンデパーティ」のお知らせ

お待たせしました!
第7回イリクンデパーティ開催です。
参加者を募集します。

《要項》==========================
日時
:2014年6月14日(土)13:00-20:30(途中退場OK)

場所 ※いつもと違います!!!!
戸部コミュニティハウス 2F 和室(以後アナウンスがなければ現地集合です)
:京急「戸部駅」より徒歩10分。「桜木町駅」より徒歩15分。

参加表明
:人数把握のためメール(yirlikumde(あっと)gmail.com)かメンバーのtwitter(@sounio120など)など、前もって一言いただけると助かります。どうぞお友達とご一緒に。

遊ぶゲーム
:こちらでも楽しいゲームをいくつか持ち込みますが、あまり多くは持っていけそうもありません。 持ち込み大歓迎です。自作ゲームのテストプレイもご遠慮なく!
:【暫定持込リスト】(イスタンブール?カシュガル?斬ライジングサン?)未定。随時更新。

備考
:飲食可能です。
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それでは皆さん、よろしくどうぞー


これまでのイリパの様子

2014年5月19日月曜日

SOSタイタニックを遊ぶ



そういうわけで、


なんだけども、

というわけなんですが。

春からの新居が都心から遠いから、あんまり人と遊べなくなるんじゃないかという心配もあったりで、一人用からできるゲームを最近集めてはプレイしているわけです。(まあ実際は毎週遊びにいってるんですが...そして交通費ヤバイ)

 

さてこのゲームはソリティアです.厳密にはクロンダイクというんですかね.「Windowsに入ってるアノのソリティア」と言ったらお馴染みでしょう.

悪い言い方をすると,ソリティアに能力カードを別に用意して,沈没という時限装置を用意しただけのゲームです.そんなんでいいのかよ?というのはもっともな意見かもしれませんが,そんな古典ゲームのチョイ変(?)にも関わらず,最大限テーマにマッチしている点が非常に関心させられます.というのが私の総評です.

その辺の話を中心に順を追って紹介しようかと思います.

ゲームの概要はタイタニックが沈む前に乗客全員を非難させろ!です.タイタニック号の沈没の様は冒頭のように本型のコンポーネントのページをめくるように行います.珍しいですね.

SOSタイタニック

セットアップは乗客カードで4列を作ります.この列は船上のデッキを表しています.最初は4列ですが,右の空いている2つのデッキを使うこともできます.そこを使うには,最大の数値のカードを置く必要があります.

ソリティアのゲームを頭に思い浮かべると簡単に理解できるはずです.

デッキにいる乗客が避難を終えるにはまず,小舟(数値は1)をみつけることが必要で,見つけたら列とは別の場所に置きます.お分かりの通り,トランプのAに当たるカードです.この小舟には数値2の乗客から順に上に重ねていくことができて,避難させることができます.このようにして,黄色の乗員が1~17の各2枚,紫の乗員が1~13の各2枚全ての乗客を対応する色の小舟に昇順に乗せればゲームに勝利します.そういう協力ゲームです.1~5人でプレイ出来ますが,やってみるとよくあるソロプレイがオマケというよりは,ソロプレイがメインのように思えます.

裏向きのカードはまだ混乱していて小舟に非難するどころではない乗客達を表しています.

右の方のカード山の一つも乗客カードで,これらはまだ船内にいる乗客を表しています.

SOSタイタニック

さて,ソリティアでは赤のカード,黒のカードを交互に降順に重ねるようにしてカードの移動を行いますが,SOSタイタニックでは上のように同じ色で重ねます.

少し移動を行うと,その内,移動が出来なくなります.そうしたら,ソリティアでは山札からいくらかのカードを表向けてストックに置くことをしますが,SOSタイタニックではストックに表向けるのではなく,いくらかのカードを表向けてその中の1人を移動可能な列(または小舟の上)へ置きます.ここで,一人もどの列にも移動できない場合,タイタニックの沈没が進行してしまいます(パージを1枚めくります).

SOSタイタニック

いくらか沈没が進むとデッキが使用できなくなってしまいます.上の写真はページをめくった直後で,船上のデッキが利用出来なくなってしまいました!

するとデッキを失った乗客たちは全員,足場を求めて隣りの列に加わります.このとき,表向きのカードが何枚あろうが,全てシャッフルして,1列にまとめた後,1枚だけ表向きにします.

SOSタイタニック

こうなるとアレよアレよの内にパニックが広がり・・・(こうなるとリカバリはもう無理で)

SOSタイタニック

広がり・・・

SOSタイタニック

ドボン・・・!

という感じに,タイタニックが大パニックとなる様が見事に表現されているのです!

左の方から足場がなくなっていくので,パニックが起こらない程度に気を配りながら進めていかなければなりません.

  • 運命の選択

時には究極の選択を強いられる状況も起こります.

SOSタイタニック

実際に起こった例として,上の写真は「今確実に救える乗客を救う」と「全員救える可能性にかける」という選択を迫られた状況です.

SOSタイタニックでは,クリアできなくても得点を競うことができるので,少しでも得点を稼ぐという意味で,「今確実に救える乗客を救う」という選択肢がありました.しかし,ゲームとしてはクリアしてなンボですので,「全員救える可能性にかける」をここでは選択しました.

結果は,お察しの通りです(汗)

SOSタイタニック

ゲーム的にはクリアしてなンボ,テーマ的にも全員救える希望は捨てれない!というのは自然な考えですが,結果として,ゲームとしては点数が伸びず,テーマとしては多くの犠牲を出してしまうという事態になったわけで,図らずも,乗務員の心理を追体験するという稀な体験ができたわけです.

 

ゲームとしての面白みは,上記の疑似体験感もありますが,それよりもソリティア依存の部分が大きいです,終了の形が,全カードを昇順に揃えるというものなので,ゲーム中の緊張感との掛け合わせもあり,クリア時の達成感と爽快感がとても良い感じです.

ゲームを通して,各自に割り当てられるキャラクターカードはゲームのルールをちょっとだけ変えるような能力を持っていて,場合によるというのが正しいのかもしれませんが,結構強さにバラつきがあるように感じます.ルールではランダムで配ることになっていますが,これが多人数プレイになると,いい具合に役割のようなものが生まれてソロゲームを二人でやるだけという感覚を低減してくれます(という妄想です.多人数でやってないので).それでも実際ソロゲーム推奨なような気がします.

この“能力カードを各プレイヤーに割り当ててソロゲームを多人数で遊べるようにするメソッド”は結構汎用性が高そうなのでメモしておきましょう.

 

またこのゲームは,乗客を全員救えたら完全勝利なのかといえば実はそうではありません.2枚ある同色同値の乗客カードですが,錨マークが付いているものと付いていないものがあります.小舟に乗せる際にこれが連続している分だけ得点アップするようになっていて,そのため「全ての乗客を錨マークありなしの小舟にちゃんと振り分けつつ助ける」というのが完全勝利の条件です.こうなるともはや相当な強運も味方につけないと無理でしょう.とここで,よくよく考えたらページが捲られるほど点数が下がっていくので完全勝利は無理ゲーでした.クリアの行為だけでも十分な満足感があるため,そこまでやるモチベーションが続くかも微妙なところです.

 

コンポーネントの話をすると,乗客カード60枚全てユニークな絵柄です.よく見ると,大きい数値のカードにはムサいオッサンやお兄さんの絵が描かれていて,逆に小さい数値のカードには,子供やお年寄り,女性の絵が描かれています.つまり,避難させる優先順位がちゃんと決まってるんですねw 無駄に凝っていてつい笑ってしまうのですが,良い凝り方だと思います.

この辺が,SDJ2014の推薦リストに入った要因なんではないかと思っています.また,最近,開発された優れたゲームメカニクスに頼らず,古典ゲームの現代アレンジという位置づけも悪くない点かなと思います.

正直,ジャケ買いした後,家に帰って見た内容がソリティアだった時はガックリ肩を落としましたものですが,思ったよりしっかり遊べますし,何よりテーマとのマッチがとても気に入りました.

さらに,私のお気に入りのデザイナーである“ブルーノ・カタラ”らしさがしっかり入り込んでおり,とても心地の良い作品です.

これは夜な夜な取り出してまた一人で遊びたいと思っています.

 

それでは.

 

yio

SOSタイタニックSDJ2014推薦リスト入りの報を受けて...

2014年5月10日土曜日

ショーナンお泊りゲーム会で遊んだゲーム

5/4から5朝にかけてショーナン亭で遊んできました.

最近スケジュールを勘違いしまくりな私(yio)ですが,5/4もコミティア開催日だとばかり思っていて後で勘違いとわかり,ポッカリ空いてしまって途方に暮れていたその日,次の日の予定がちょうどアッチの方だったので,最近頻繁にゲーム会をやっていそうなショーナンさんに声を掛けてみたのでした.

DMにて,

「5/4から5日にかけてショーナン邸お泊まりゲーム会なぞやる予定あったりしませんか?(唐突)」というあまりに唐突な無茶振りに,

「ないけどやるかー」という対応をいただいて開催が決まりました.

参加者は,ショーナンさん,だんごさん,私,(遅れて)りっちゃんでした.

というわけで,遊んだゲームなど.

 

  • ブレーメン(仮)(テストプレイ)

ブレーメン(仮)

テストプレイというより,こんなコンセプトがあって,それにこういうシステムはどう?なんか感じるものある?みたいなノリで.

「飲み屋でできる」がコンセプトで,コンポーネント的な方面からのシステムにアプローチしつつも,深く考えないでも出来るけど,それだと明らかに負ける(敗因が明らかなので),という居酒屋でだらしなくやるために特化したシステム構築を試みているのです.

カードセットが人数×2-1枚で4人用を想定していたため,急きょ3人用にセットを組んでやりましたが,それなりに回ったし,やりたいことはよく分かって貰えました.特に意見が出なかった(?)ので,その流れで,チャレンジとして全部のカードからランダムにチョイスする方法を試しましたが,予想通りやはり収束性に難があり,数回やったところ千日手も発生.システムの改変を試みたけど,「それじゃのんべえが運用できん」みたいな,少しでもややこしくなると没,みたいな.ターゲットや遊ぶシーンがかなりしっかりしているので,製作過程で全然ブレないのが非常に良いですね.その分難しいけど,大事です.

 

  • ポートイリ(仮)(テストプレイ)

ポートイリ(仮)

続けてのテストプレイ.

ダイスゲーとして作りはじめること数年.どうこじらせたらここまで大がかりなものになるのか.前回,前々回でかなり感触は掴んでいて,今回は満を持して競り下がりのドラフトからヒントを得て組んだ新システム(写真右部)を搭載して臨みました.これが中々正解で,良ゲーの予感です.この方向で進めつつ,ベースは良いので,ボーナス点などのスパイスを散りばめて,「適度ダイスゲー」としてまとめていく方針です.

ダイスゲーとして作ってきたゲームでしたが,ダイスロールの部分は色んな人から評価を得ているので何とか完成させたいところです.

 

  • SDガンダムBB戦士 戦国城盗り合戦(BANDAI)

戦国城盗り合戦

私が小学生時代に猿のようにプレイしていた覚えのある思い入れのあるゲームです.そういえばどんなゲームだったかな?今やったらどうだろう?と思い立って最近手に入れてたものです.ショーナンさんところでぜひ遊びたいと思って持ち込みました.

相手の場に並べられた5つの城を襲ってたくさん落城させた人の勝ちで,判定はカードに書かれたダイス個数と補正によって行うといういかにも古代的なゲームですが,いくつかあるちょっとしたシステムが,プレイ中にドイツゲームを遊んでいるかのように錯覚させることがあり,発売年が1989年ということもあって私の中では「元祖和製ドイツゲー」という位置づけです.ちなみにこの日の会話の中で「シャハトがパクってナッシュを作った」という逸話が生まれました.真実はどうでしょう.

ちなみに今回は,私の出目がチートでかつ派手なイベントカードがトントンと起こってしまい決着があっという間だったため,本作の本領が発揮されずに終わってしまいました.ざんねん.

持ち込んだこのゲームは,遅れてきて参戦できなかったりっちゃんに布教してもらうように託してきました.伝えそびれましたが,『ルールの不明瞭な部分はご愛嬌で「良いように解釈して」遊んで下さい』(笑).ご愛嬌.

 

バンケット

手作りサンドの夕食を挟んで,腹ごなしにバンケットを遊びました.だんごさんのインストでプレイ.が,2戦目をやっていたところで,ルール運用の間違いが指摘されたので,正しく評価できませんが,見た目でテキストゲーかと思いきや,かなりシンプルな効果しかなく,ドラフトもオーソドックスな作りでかなりお手軽なゲームでした.それぞれのカード効果とコンボが頭に定着すれば,中々味のあるゲームなんじゃないかと思います.テキストゲーというだけで食指が鈍る私ですが,お手軽なゲームということがわかったのでその内に再戦します.

ちなみに間違って運用したルールは次の通り.

各自6枚のパックを持ってドラフト⇒パックを交換しながら,秘密で3枚ずつ選ぶ⇒最後に選んだ順に公開⇒残りのカードでパックを作って繰り返し......です.本当のルールは選んで公開×3だったようです.

個人的には,どうせならもっとプリミティブな(カードテキストに頼らない)配置ルールのこういう感じのゲームだとドストライクです.

 

  • 「5月5日はHABAの日」

5月5日はHABAの日

夜の部はHABAのゲーム3連戦から開始.GWには子どもの日があるということで.

キャプテンリノ→寺院の宝→気球で大空へという順番だったがこれが失敗.

1本目,みんな大好きキャプテンリノは,どう考えても東に傾いてるちゃぶ台に大苦戦.ハードモードでは2順目くらいにダブル(カード2枚重ねて出すカード)を出したら,重ねたカードが滑り落ちて,反動であっけなく崩れましたw 続いてノーマルモードでは誰も意地悪せずに順調に基礎を築いていくもやはり東に倒れて終了.だって傾いてるもんw

2本目,"エレガントな記憶ゲーム"と評したTempelschatz.ゲームについては前の記事で.これは早急に輸入すべきHABAゲー!

3本目,Tempelschatzで疲弊しきった精神と脳みそでぼんやりしながらやった,"ルール読んだ時点で名作決定"気球で大空へ.記憶力に加えてちょっとしたカードの引き運,相手の場の状況からの伏せカードの推定,カードを伏せる場所というちょっとしたアナログな駆け引き,得点を狙うための一時的なしゃがみ,終了トリガーの引き方,など全てが素晴らしいゲームです.名作.しかし!!記憶ゲーを連続させてはイケナイ!ダメ絶対!!

 

  • サンチアゴ(Santiago/Amigo)

サンチアゴ

好き好んでイントリーゲを遊ぶ奇行派集団でお馴染みのショーナン界隈では絶対ウケると信じて持ち込んだのがこのゲームです.

タイル獲得の一巡競り,水路の提案のための一巡競りを1ラウンドとして既定ラウンド終了時に確保した畑の豊潤さと所持金の多さで競います.プレイヤー間の秘匿情報は所持金だけ,交渉も自由とくれば,思い出すのはイントリーゲ.本作も,口八丁の能力はもちろん,抜群の金銭バランスを要するところは一緒で,これに加えてタイルの出順のランダムさを考慮した未来を見通す力,タイル獲得順競りの思い切りの良さなどが必要になります.水路の番人へ提示する賄賂額と,番人がそれを棄却する場合に支払う金額の関係が巧妙にして絶妙.作物の価値の上り方が大きいので緊張感があり,プレイヤー間で畑の相乗りの関係が持てる部分も絶妙.

サンチアゴ

テーマが(一般的には)地味だし,箱がB4サイズで大きくて運び辛いがことは難点だが,遊びやすさ,悩ましさ,思惑の交錯度合い,ゲームの長さなども相まって,素晴らしい「適度交渉ゲー」となっています.ボードを2つ折りにしたB5箱版が出たら完璧っすね.Amigoさんよろしく!

サンチアゴ

ゲームの結果は50~65点ぐらいの間に全員が収まる接戦でした.私は盤面では儲かってないと見せかけて密かに溜めた所持金でまくる作戦でしたが,惜しくも数点差で負け.

りっちゃんやAさん,Gの人などを混ぜて是非とも遊びたいショーナンゲーです.というわけでゲームは置き去りにしてきた(笑).またやりたいです.

 

  • (豆腐とウサギのゲーム) (テストプレイ)

豆腐とウサギ

だんご氏との一騎打ちバトル.

謎の豆腐集団をウサギの軍団で迎え撃つ.

が,増える増える,増えるワカメのごとく増える豆腐群に広範囲を制圧され,負け.バッティングルールありの同時行動選択なのだが,まさに為す術無しで押し切られた.

制圧力と引き換えに兵糧がかかるとかそういうのがあったらどうかな?

 

  • ビブ,ビブ....?

この辺でダイスを振らないアレをやった.

 

  • ダンジョン...なんだったかな......

ダンジョン...

ワイワイやるには良いゲームだと思いますー.

 

  • 伝説のルクセンブルク日本語版

IMG_0509

前から気になってたこれ.念願の初プレイ.

システムとの勝負と他人との勝負の二段構えで,その構造は悪くない.たぶん,システムとの勝負をダメにする一手が明確に打ててしまうのが良くないんだと思う.例えばもっと引き運の部分をもっと小さくしてコントロール出来るようになれば.

 

  • ニムト20周年版

IMG_0511

ドイツ行ったついでに買ってきたと噂のコレをようやく回せました.小数点カードのお蔭で,写真のような展開も珍しくないのかも.「お前らニムトぐらい知ってるよな?じゃなければモグリだぜ?」と大きな顔するために,行きの電車の中でニムト復習していったんだけど,こんなに潔いゲームだったかと思って関心.名作ですわ.

このあと滅茶苦茶牛引き取った.

 

ここでりっちゃん到着!

 

  • ひつじグーグーグー(Sheepzzz/Hurrican)

「どこが面白いのかわからないから確かめるために持ってきた」と断ってから立てました(サイアクだw).

意外と途切れずテンポよく出せるのは楽しいのだが,「75点は長い」は満場一致のようだ.モウとよく似ているのだが,違うのは,ほとんどの場合,山札切れしてから,手札が減り始めたころに,始めに出せるのがなくなった一人が大量失点,という展開になるところだと思う.少なくとも体感では.

オオカミも手札に持っていると強いけど,出すときにリスクがある,というのは新しそうなリスクの作り方だけど,あんまり上手く機能してるように感じない.どうしてもモウと比べてしまうのだが,モウの場合は,攻撃が相手の意向によって跳ね返されるかもしれないというリスクだったのが,単なる確率になっている.これではあまりメシウマな楽しみ方にもなりにくいし,結局最後の最後にギリギリ出せるか出せないかみたいなスリルにしかならず,それはそれでいいのかもしれないけど,その人の手の内だけで完結しているので盛り上がりには繋がりにくい.

オオカミに当たると場が縮小されるのは良いけど,途中ではあんまり起こらないし,狙ってそうできるものでもないのでオマケ程度だし.

 

  • 休憩挟んで

エルサレムのインストまで聞いてとても面白そうだったのだけど,眠気と若干体調不良で私がダウン.

エルサレムもそうだけど,レーベンヘルツもまたやれず仕舞いで,とことんレーベンヘルツ運がないようです.一度目覚めたとき,ちょうど始まるところだったんだけど,寝起きのスロースターターっぷりがヒドい私では到底参加などできず.(というか二度寝したけどw)

 

で,地震でさすがに目が覚めたので,ここから参戦.

 

  • ペルガモン (Pergamon/eggert)

ペルガモン

テーマとか繋げるギミックとか,一度に色々決まるアクション選択とか,結構好きなゲーム.一度走った人に追いつけない感じが問題と言えば問題かな?下手にトップが凹むシステム入っているより潔くて好きですけど.すごくドーラっぽいよねコレも.イイね.

ペルガモン

持ち主の威厳を見せた.

 

  • 最後に斬-サムライソード-

適当なことを言いつつ,万遍なく殴って,その時が来たら一気に将軍を叩くというのが,私の定番戦術なんですが,ちょっと将軍を泳がせ過ぎた結果,鎧三枚着こまれてどうにもできなくなりました.侍りっちゃんも忠実に働いてたし.完敗.というか降参しました.御見それ致しました!

 

ここで予定の時間になってしまったので,お先に失礼しました.

 

急な誘いに乗ってもらった皆様には大変感謝!また遊んで下さい.

2014年4月22日火曜日

秋津会で遊んだゲーム

四月某日,操られさんこと常時次人さんが

「土曜どこかでゲームしたいなぁ」

とつぶやいていたものだから,条件反射的にゲーム集会にお誘い.

そんなわけで操られさんと遊ぼう会が開催されました.(この間3日)

 

  • Tempelschatz(HABA)

Tempelschatz

オープニングゲームはこれ(写真は別の日のもの).

最近,ちょこちょこ持ち出してるHABAの小箱ゲーム.

探検家となって6種ある遺産を収集するのが目的で,タイルを4枚集めたら勝ち.円形タイルの裏表には6種の遺産のいずれかが描かれていて,それが全ての組み合わせあるので計21枚のタイルがあります.それと6種の遺産がそれぞれの出目になっている6面ダイスが2つ.これがコンポーネントです.

自分の番になったら2つのダイスを振ってどちらかの出目が表になっているタイルを1枚裏返します.もう一つの出目の遺産が裏返した面に描かれていたら獲得します.ルールはほぼこれだけです.

「当てなきゃならないものがダイスで決まり,1枚だけめくる神経衰弱」というと分かりやすいかな?

まず,コンポーネント,ルールが限りなくシンプルなのは上で述べた通り.なので記憶力と少しの運があれば良いというだけ,そこを競うゲームです.ただし,記憶力の方がやっかいで,やってみると実感するんだけど,ころころと裏返るタイルのせいで全然覚えられない,僕は.神経衰弱というゲームは①「あの場所に,あれがある」,②「あそこのあれの隣りに,あれがある」という感じに覚えると思うんだけど...,一つの場所には2つ(あるいは1つ)のマークが割り当てられていることになるので記憶がとても混乱します.神経衰弱を2連戦やるような感覚です.同じように近場の記憶と連動させて覚えるのにも裏表に情報があってたまにひっくり返るというのがネックになって一筋縄にはいかず....

そんなわけで記憶力がないと辛いんですが,記憶力があっても当てるチャンスがダイス運によるので,記憶が苦手な人にもチャンスがやってきます.あくまでチャンスで,記憶力は大事.

記憶力が同じくらいな人同士だと運勝負になるところはあるけど,一方で能力差が運で詰められる部分は,不特定な人と遊ぶにはとても良いゲームではないかと思います.単純に記憶力を競いたいならいくらでもガチなゲームがあるだろうし.

上のように書くと「じゃあ運ゲーなのか」ということになっちゃうかもしれないんですが,イリクンデのメンバーで何戦もして,俺が一度も勝てなかったので,これは確実に記憶ゲーです.運ゲーなら俺が勝ちます(ぇ)

この日は,3人で1戦しましたが,案外みんな記憶力がダメダメ(笑),で私が勝ったんじゃなかったかな?w

 

  • カルカソンヌ 南洋(Hans im Glück)

カルカソンヌ 南洋

定番ゲームのカルカソンヌに,南の島と聞いて手を出さないわけにはいかなかったコレ.

オリジナルと違うのは,駒が4個しかなくて,1ターンに1個置かない代わりに1個戻せるというところ,完成地形の決算では資源(バナナ/魚/貝)が得られるのでそれを出荷して得点に変換するという部分が大きく違います.

まず見た目が良いです.駒が少ないのでちょくちょく決算を起こして解決する必要があるので地形が完成しやすく,きれい.資源は木駒なんで気持ちいい.資源との交換での得点なので得点が分かりやすい(カルカソンヌだと”何が何点で・・・”と少し覚えることがある).

とここまでは私的には好みなんであるが,得点が地味で,最後に余った資源や置かれてたミープルはほとんど得点にならないので(というより救済があるだけ),最終集計のドキドキ感というかそういうのがない.

カルカソンヌ 南洋

というわけで今回は↑こんな感じで勝ってしまったのだが,(俺は良いとして)他の人は後半ダレてしまったのではないだろうか.

出荷はいわゆるレシピなのだが,必要資源が似たりよったりなので,良く言えばキツくなくて良いのだが,間延びしてしまう感じがある.得点効率もどれも似たような感じでとにかく平坦に感じるゲームである.ここから感じるのは,「とにかく資源をいっぱい集めて下さい」というメッセージですかね.まぁ,そういうことだと思います.

そうなると相乗りを上手く使いたいところですが,駒が4個しかないのであまり広がって決算が起きなければ無駄になって,相乗りしていなかった人にアドバンテージがいく.この妄想的な構図がゲーム中うまく展開されるなら,もっともっと戦略性に富んだゲームになるのかなと思います.

今回のプレイでは序盤に得点の大きな船と少し特殊なレシピの船が出切ってしまったので,印象が良くなかったのですが,別のセッションではどうなるでしょうか.決して悪くはないので再戦して確かめたいところです.

ちなみに私(もしかしたら今回の全員?)はカルカソンヌがそもそも得意ではないです.

 

  • 炭鉱讃歌(eggertspiele)

炭鉱讃歌

ルール読んだ時点で,傑作だし漂うクラマー臭が素晴らしいフォーミーゲームでしたが,テーマ地味すぎるし大箱だしで手を出してなかったゲームでした.

やってみるとやはり傑作と言えるゲームでした.もっとボードゲーム歴の浅い時期に違う出合い方をしていたら,ベストゲームに入っていたかもしれません.そのぐらいまとまりの中にオモシロがしっかり詰まったゲームでした.

ワーカー配置によるアクションは非常に明快で,同種のシステムの素晴らしさを再認識させられました(※ワーカー1人頭の成果が後になるほどなぜか変化するのでワーカープレイスメントとは簡単には言いたくない).AP制のゲームは綿密な計画性を要しますが,セリのようなインタラクションが起こるお蔭で,良い意味で考えすぎてもしょうがない状況を作り出しています.トロッコの集め方だとか,出荷の乗り物の種類だとか,バリエーション的な広がりも上手く取られていると思います.左右でバランスを取らなければならない炭坑というのは少し意味が分かりかねますが,ほどよい縛りになっています.

炭鉱讃歌

全体的に”良く出来た”ゲームですが,特に以下の2点に注目します.

1点目は中間決済です.これぞクラマーと言う部分ですね.誰にでも思いつきそうだし,どこかのゲームで採用されていそうですけど.ゲーム中にしっかり目標を持たせるというのは当たり前ながらも超重要なポイントで,ゲーム経験の浅い人にも優しいファクターです.炭鉱讃歌はファミリーゲームです.

2点目は炭坑アクションです.ワーカーアクションによって炭坑アクション用のポイントを与え,炭坑でチマッチマと作業をさせる感じを巧みに演出しています.資金の調達から採掘,そして出荷まで全体を大きく捉えたアクシション群をベースに扱う中で,最もこのテーマらしさをもつ行動をグッと細かなスケーリングにした炭坑アクションとして表現しています.

素晴らしいです.

 

キングダムオブフールズ

ゲーム内容は割愛しますが,テイストはいつものワンドローです.

獲得した建物の効果によって,プレイヤーの立場,プレイヤー間の関係性が派手目に変化する作りで,ディールごとの思惑の読み合いに特化した作品です.

今回,プレイヤー間のコミュニケーションは独自の判断で少なめにして遊んだのですが,例えば王様が「アイツにあれを渡した」とか,家来(?)の一人が「王様にあのカードを渡された」とか,「真ん中のカードはあれだよ」など,深い情報をどこま喋っても良いのか,という所が気になりました.全てのプレイヤーが敵対関係にあるので,実際にカードをオープンしたりしない限り何を喋っても良い(ルール的にも)のだと思うし,その方が気を使わずに遊べると思いますが,それでバグらないのかどうかは少し心配です.確かめてないだけで,喋って良かったのであれば余計な心配でしたが(笑),それならそうとルールで明示してあってもいいハズ.

もう一つ気になったのは,像の建設に関してです.3枠という建物の数の制限の中で,像は高得点の代償として能力の枠を一つ減らします.ここまでは良いですが,像のある場所にもその後,建設(建て替え)ができるので,能力枠がまた復活します.”像のある場所には建設できない”ルールではいけなかったのかな?と思いました.

ゲーム自体は十分遊べるんだけど,全然上手くやれてないんじゃないかという疑惑があるので,すごくうまい人同士で高度な駆け引きが応酬するようなセッションが見てみたいです.今回やった2戦とも,おそらく王様役がすごい下手だった....アートは素敵.

 

このあと滅茶苦茶 黒猫ローラと魔法の森カードゲーム した.

このゲームは非常に短時間で回せて遊びやすく,やってると自分がトリテ好きなんじゃないかと錯覚してくるんですが,多分気のせいで....

マイフェイバリットトリテですよ.メッチャ下手だけど.

 

 

という感じで,ちょっとしたハプニングもありましたが,述べ7人も集まったし,非常に楽しう会で御座いましたm(__)m

2013年12月3日火曜日

第6回「イリクンデパーティ」レポート

全然写真を撮ってなかった.

今回は全部で10人の参加になりました.

 

  • オウガボウガ

オウガボウガ

準備時に全く想定外のアクシデントがあり私は慌ただしくしてましたが,イリパフリークであるところのショーナンさんの計らいで全員参加のオープニングゲームが立てられました.MAX8人によるオウガボウガ!HA!

オウガボウガは純粋メモリーゲームで,自分の番になったら自分が出すカードに書かれた音(おん)の前に,それまでに出されたカード全ての音を順番に繋げて間違えないように発音するゲームです.意味の無い音の羅列をしゃべる様はまさに原始人!HA!

前に出されたカードはもちろん覚える必要があって,枚ラウンド誰かがミスるまで積み重なっていくのでどんどん辛くなっていく!発音する人は次の人を最後に指名する!HA!

誰かが間違えたら指を指して指名する!Fooo!!

ミスったらラウンド中に出された全てのカードを引き取り減点となる.そんなことより,ラウンド頭に配られる3枚のカードを全て出し切ったらオウガボウガ!で勝利!HA!

全員参加,発声,ノリ,記憶力,原始人という色んな要素が相まって,すばらしいオープニングゲームになりました.机を叩く,手を叩く,舌を巻くなどという他のゲーム中にはあまりやらないアクションがあるのもポイントですね.

”嘘”の強要でその人のいやらしさを大暴露させる「ファブフィブ」,大人の中の子ども心に火を点ける積み上げアクションゲーム「キャプテンリノ」に並ぶナイスなオープニングゲームでした!ショーナンさんのファインプレー!HA!

そうそう,8人ではさすがにトップが決まらなかったので,0点の4人で決勝,2人で最終決戦をやりました(対応3人~だけど).最終決戦の2人戦ではレギュレーション通り3枚でやると簡単にオウガボウガして勝ってしまったので,山札1つから引き続けるマゾいルールで始めましたが...マゾ過ぎたのでノーゲームにしましたw あのままやってても多分僕が負けてたろうなーと思いますw

 

  • 堆肥片付け!(So ein Mist!/Ravensburger)

堆肥片付け

みんな大好きW.クラマーの結構古い味のあるゲーム.この間,ふうかさんに譲っていただいたものの一つで,ショーナンさんにやってもらえば,遊んだことが伝わるんじゃないかなーという少しの打算を抱えて,この機に遊びました.

手番ではサイコロを振ってマスを動いて,マスに対応した仕事チップを手元から場に置けるんですが,仕事がない状態で手番が回ってくると1点,というテーマがとても痺れます.僕もこういうゲームが作りたい.

他のプレイヤーと同じマスに止まると仕事を1つ押し付けることができるというシステムは,仕事がない状態のプレイヤーに対してやると効果覿面.このアクションはまさに「お仕事」ですね.ゲーム中にやるお仕事はあまり良いものではありませんが,テーマがお仕事なんだからしょうがないですよねえw.良いですねえ.僕もこういうゲームが作りたい.

かなりサイコロに左右されるゲームで選択肢もあるようでほとんどないゲームなのですが(ホントはすごい戦略があるかも!),テーマ的に良い感じで盛り上がれるゲームでした.「アイツは働き者だ」とかそういうことですね.なので,アレンジとしてSEのゲームにしたらどうかなと思ったんですが,結構洒落になんなそうなので止めときましょうw

ふと思いついたのでメモ:仕事したらお金が手に入る→休暇でお金を使う→お金を使った額に応じて幸せが手に入る→ゲーム終了時幸せが多かったら勝ち(うわあああ!!)

堆肥片付け

↑最後は私の手元にタスクの山が…!大逆転負け!うわあああ!!

 

  • 金は生る(仮)

テストプレイ

今回初参加のゲスト操られさんの開発中のゲーム.

ゲーマーの参加者を募っていたので,ワタクシゲーマーじゃないのですが,とても興味があったので参加させてもらいました.

コロレット式ドラフトをベースに,アレやソレやがコレでもかというぐらい詰められたカードベースのゲームでした.

4つのイベントに対応した4つのパラメータとユニーク能力を持つユニットをドラフトして,各イベント時にパーティのパラメータによって得点を稼ぎます.

カードごとのパラメータの絡み合いは足し算でシンプルですが,コロレット式のままならないドラフト(次に自分が引くカードが全て分かっているとはいえ)に加え,イベントの発生のコントロールはカード獲得と同時に行われることから獲得順と獲得する人の意思に委ねられ,イベントによって一部のユニットがやられるとパーティの調和がガタリと崩れたり,とにかくムズイ…!

ムズイけども,ゲームも最後の方になってくれば,一応分かってくる,やり方は.

やり方は分かっても,しかし,勝ち方が分からない.

基本的には4つのイベントを起こしたい(そのイベントで稼ぎたい)人がどれだけいるかを場から読み取って,起きそうなイベントに対応する,という方針であってるはず.なのだが,そうそう上手くできないし,各イベント特化のパーティに対抗できるイベントが常に残されていて,いい感じにバランスが取られている.

こんな複雑なのにバランスが取れている!というより,複雑だから取れているという方が正しいのかなー.だからか,この複雑さが操られさんの持ち味なのではないかーっていう話もあった.うむうむ.

個人的にはもうちょっとゲームが短い方が良い(単位時間当たり結構ツラいので)のでそう伝えましたが,それも良いトコロだという話もあったり,難しい.まだまだ改良案を検討中のようなので今後に期待したいと思います.

僕はゲーマーじゃないのでこのレベルのゲームに気の利いたコメントを言えませんでした.

 

  • キャラバン(仮)

muginの開発中カードゲーム.というより思考実験とハッキリ言っていたw

ゲーム開発もこじらせるとこうなっちゃうよー,という一例.

ゲーム作って売ることを目的にすると,市場を意識したプロダクトを出していくだけで満足できますが,たぶんそうじゃない人も一定数いて.ウチには結構その気がある.少なくとも俺とか.

開発する前には研究が必要でそれには実験が必要なんですね.

こういうのってゲーム開発者多めのイリパならではだと思うんです(ゲーム開発者でも嫌う人いると思いますけど).オープンゲーム会に持ってったら締め出しの可能性あるで….

実験といえば,前回もありましたね.あれはざわついたなあ….

 

  • ランカスター(Lancaster/QueenGames)

ランカスター

イングランド(?)で騎士団を鍛えながら,議会の発言力を強め,フランスとイチャコラするゲーム.こっちのクラマー作.

ちょっと頭を使ったので,軽いゲームをやろうと漂っていたら呼ばれました.しゃーない60分で蹴散らしてやるぜ!と意気込んでのプレイ.

むかーーし,プレイした時は結構悩んでやった気がしたのですが,簡単に考えたら結構簡単にプレイできました.考慮時間も自分が一番短かったと思う.(これはとても珍しい!)

目先の得点効率だけをとにかく重視,設備増強(場内,騎士団)はとにかく何を置いても優先.ということだけを考えた結果,20点差ぐらいをつけて珍しく大勝!

ランカスター

帰りがけにどうして勝てたのか?という検討の結果,明らかに他のプレイヤーが原因ってことで落ち着いた.ですよねー.

念願の初プレイだった上家の人がすんごくテンパってたのが印象的でした.

 

  • アレンジゲーム(テストプレイ)

操られさんのアレンジゲームのお披露目.

1枚の手札をもって1枚引いては1枚プレイするアレ.

まずレギュレーションぶっちぎってたし(w),全然アレじゃないし,よくぞここまで難しくしたな,とは元をよく知る人の談.

カードが結構複雑な動きをするんだけど,最終的には場のカードを予想するゲーム.まとまってはいるんだけど,予想部分がゲームとしては完成してなかった感じ.惜しい.むしろ別ゲームにしては,という話が出てた.う~ん,どうだろう.

カードの複雑な動きの中で予想する部分は中々面白かったです.

 

別卓では樹ブロック,新しく簡単な戦争ゲームを作ってみた植民地戦争+α),Fog(バランスクズシ)などなどが遊ばれていました.

そう,何を隠そう,今回もう一人の初参加のゲストは,植民地戦争,樹ブロックの作者さんだったんですね~.

増やしていきたいボドゲ製作者の輪!

そういえば,今回りっちゃんがすごいダンボ(写真中央付近)推しだったw

 

  • マカバナ10周年記念版(Maka Bana)

マカバナ10周年記念版

    先々月ぐらいに発売された10周年記念版のマカバナを手に入れたのでさっそくプレイしました!

日本マカバナ大使であるところの私ですから,マストバイのアイテムだった訳です.発売したことに1か月くらい気づかなかったんですが,このところ仏尼でカートに2個入れてポチったところ,日本発送不可のメールが届いてキャンセルされた(じゃあ注文できるようにしないでくれよ!)んですが,その後,うまいこと入手することができました.

特徴は,これまでなかったボードと,ダイビングのエリア(ダイバーが描かれてるマスが見えるでしょうか?)です.今までのボードと別にもう一枚が入っています.これまでは,4つのビーチがある島でしたが,新しいボードには3つのビーチがある島1つと2つのビーチがある島1つ,計2つの島が描かれています.

プレイ人数に応じて遊ぶ島を変えるようで,5人なら今までと同じMakaBana島,4人なら3つのビーチがあるNoka島,3人ならもう一つの島,そして6人なら新しいボードの2つの島が舞台となります.つまり,人数マイナス1のビーチがある島で遊んでくださいということです.

今回は4人だったので上の写真にあるNoka島で遊びました.見ての通り,島が狭く,隣接関係が多いため,安全にたくさん小屋を建てることが難しくなっています.

新要素であるダイビング小屋ですが,①得点が同じビーチに建てた自分の小屋と同じ数と同じになる,ということと,②ビーチのエリアマジョリティ争いで同点のときは勝ち扱いになる(ただしこの小屋は数えないのでマジョリティ狙うなら普通の小屋を建てたほうが良い),という2つが大きな効果です.

建ててしまったら一見して強いように見えますが,それと同じだけ警戒度が高まることがネックです.しかし,場所が限られていて一人だけ建てることが出来ないため早い者勝ちの要素もあります.悩ましいですね.後々,そのビーチの小屋が奪われると必ず2点以上の損失があるのもスリリングです.マカバナ10周年記念版

そんな訳で,早々からダイビング小屋を建てて,新版を満喫するスタイルでプレイしたのですが…終局時,8件使って9点(赤)という大敗orz

そうじゃなくても,緑のプレイヤーを野放しにしすぎですね….ダイビング小屋を建てたプレイヤーがどうしても目立ってしまうのが,このゲームにおいてはかなりのデメリットになるようです.それにしてもヒドいなw

 

軽く回すつもりだったマカバナで思わず時間をかけてしまい,今回はここで閉会になりました.

 

 

そんなこんなのイリパ6でした.参加された皆様,お疲れ様でした.

予定が合えばまた参加してもらえると嬉しいです.ありがとうございました!

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そして今回もレポート書いていただいています.サンキューショー!

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