2013年9月16日月曜日

10 Days in the Americasを遊ぶ

邦題は10デイズ・イン・ザ・アメリカ大陸.

同10デイズシリーズのUSA,ヨーロッパ,アフリカ,アジアと比べると

ちょっとダサい.

そういうわけでこのシリーズを買おうと考えてから真っ先に購入候補から外していたがどういうわけかこれを買った.

10デイズ・イン・ザ・アメリカ大陸

購入の決め手

日々いろんな方向から面白そうなゲームの情報を集めているなかで,本ゲーム購入に至った経緯を語ろう.レビューを期待してページにアクセスした方には申し訳ないが,それはちょっと後回しにする.なぜなら,ゲームシステムが飛びぬけて面白いとかそういう類のゲームではないからだ.その代りにそれを補える魅力が多々あるンである.

一般人とも遊べる親しみやすいゲーム

まず出会わなければ興味を持ったり吟味をすることすらできないわけである.このゲームに関しては「一般人とも遊べる親しみやすい内容のゲーム」が欲しかったのがきっかけだったように思う.良く覚えてないが,ツイッターなどで流れてきた情報で興味を持ったわけではなく,積極的に探した.

最近,ボードゲームをやったことないような人(一般人)を誘って遊ぶ機会が少し増えてきた.そういう時に,比較的マニアックなタイトルばかり集めている(というより母数が多いンだと思う)とちょっと困ったりする.そんな中でもなんとか遊びやすそうなのを選んで遊んだ何回かの経験からいくつかの条件がわかってきたわけである.

  • インスト5分
  • プレイ時間20分
  • ワイワイと直接攻撃が盛り上がる

これは嘘だ.いや嘘とは言わない(どっちだ).

インストは短いに越したことはないが,本質的にはそこじゃなく,ルールが直観的であることが重要である.特別な処理なんかもせいぜい2個ぐらいまで.特別な処理というのは何かに結びつけて覚えにくいもののことで,単純に覚えなきゃならない.5分のスピーチを覚えていられる人なんていないわけだから,短く説明できればいいというものではない.ルールがたくさんあってもコンポーネント側でいくらでも直観的にしているゲームもある.要はプレイアビリティの問題だ.ただし,説明が短くて済むなら必然的に特別な処理の量が減ってくるのは確かではある.

プレイ時間も短い必要はない.1プレイ目で十分に遊べるかどうかのほうが重要である.どんなに時間がかかっても楽しい時間はあっという間に過ぎる.あっという間に過ぎるくらい楽しむには,1プレイ目でゲームが理解できて能動的に遊べていることが重要なんである.それに当てはまらないような,慣れが必要なゲームでも1ゲームが短ければ,再プレイしやすいことは確かではあるが,「よくわからない」ゲームをゲーム初心者からもう一回やろうとなるのは厳しい.立卓側もちょっとツラい.

直接攻撃でワイワイと盛り上がるのは高校生までである.それは言い過ぎだが,苦手な人は明らかにいる.特に「ゲーム」の類をあんまりやらない人はそうかもしれない.逆に,そういう人で「インタラクションが薄い」とケチつける人はいるだろうか?(いるかもしれない).極論,ソロパズルゲーでも構わないのだと思う.なにせボードゲームという遊びが普段から比べればだいぶ特殊な環境なンだから.

以上をまとめるとこんな感じだろうか.

  • プレイアビリティが高い
  • 1ゲーム目の人でもゲームの構造が分からないまでも遊べるルール
  • (インタラクションが高すぎない)

そんなわけで,たまたま見つけたのが10デイズシリーズだったのである.

これより前には「チケットトゥライド」や「なんてったってホノルル」も遊んだがどちらも好評だった.これらから地図上で何かするゲームというのは非常に受け入れられやすいことがわかったのも探すときにきに考慮した.

 

お得な内容物

これはまぁ付加価値なので最後にちょこっと書くような内容であるが,順番的にここに書こう.ズバリ言うと,

  • 木製カードスタンドが8個入っていて定価3150円.

これである.このシリーズをいつか買おうとなった決め手はこれ以外にない.言語依存がない.カードはタイルである.買ってみたら箱は小さい.色々良い点はあるけどカードスタンドがなかったら買ってなかっただろう.「お得な」というよりももはやアイデンティティ.まぁ無いとゲーム的にも困るので,そういう意味での必然性も気に入っている点である.

 

アメリカ大陸ではクルージングができる

同シリーズはマップの他にギミック(?)によってちょっとした違いがある.色々吟味して最終的に「アメリカ大陸」を選んだのだが,とりあえず各マップのポイントを整理してみる.(ほぼ主観です)

USA 州カードには全州が登場し各1枚ずつでキッチリ感がある
ヨーロッパ 日本人憧れの旅行地がたくさんある
  先進国(?)が多くて粒ぞろい
アフリカ 大陸全土が対象なので収まりが良い
  聞きなれない地名に高い探検感
アジア 日本がある.最も近所の地域である
  中東まで含まれる広い領域
  なんとも言えないアジア感
アメリカ大陸 5つの海をクルージングできる
  南米の秘境探検感
  前代未聞の2大陸

 

上にまとめたようにそれぞれ良いところがあり非常に迷う.

USAはチケライの流れもあり,10デイズシリーズ元祖でもあり,ベーシックさとキッチリ感があるので「間違いない」マップだと思う.

ヨーロッパはきっと一般の人のウケが一番良いように思える.これからボードゲームに親しんでいくとなればやっぱりヨーロッパ周辺は馴染んでおいて悪くないだろうし,地域モノのゲームとしてもベストのように思う.ヨーロッパを巡るという状況も実際あるだろうしね.

アフリカはこれを機にアフリカの地理に馴染んでおきたい気持ちがあった.

アジアはなんといっても近所,そしてアジア感(!).

アメリカ大陸は他に比べて2大陸も網羅しているし,5つの海を(フレーバーだけでなく)有している.これが決め手だった.

色々悩んでいくうち,国や地域に対する知識やイメージ,思い入れ,それを楽しく感じるかどうかは結局人によってまちまちだと思うようになった.それでゲーム中には結局何を楽しむかと言えば,擬似的に「旅」をすることだろうと考えたわけだ.どうせ旅をするならデッカく!あと他のマップでは出来ない連続した船旅だ.つまりクルージング!この圧倒的な「旅」感が決定的な決め手となった.

 

遊んだ

2人プレイ.

今回は自分が想定していたような一般人が相手じゃなかったので,ちょっと遊んで「良いゲームでしょ」,と確認するぐらいで終わろうと思ってたが,結局5回連続で遊んだ.

ただやはりゲーマー間で納得できる遊びにするにはちょっと物足りなく,いくつかのルールを試してみたのでそれを併せて紹介しようと思う.前もって言っておくと,「○○をしたら何点」といった野暮なルール変更はしてない.

10デイズ・イン・ザ・アメリカ大陸

ルールを簡単に説明すると,1手番に1日分の旅程を決めていき,最も早く10日間の旅程を組んだ人が勝ち.1日に1国ずつ回り,翌日は国境が接している国に移動できる.つまり国境が接している国を10個繋ぐゲームだ.ただし,一度N日目に行くと決めた国は別の日にずらすことは出来ずに,他の国と入れ替えることしかできない.国には色があり,ある色の国と同じ色の国の移動に同色の飛行機カードを1日分として挟むことができる.これで3日分の旅程が成立する.船のカードには色はないが対応する海が併記されていて,飛行機カードと同じように一日分の移動として挟むことができる.ただし,色ではなくその海に接している国同士を結ぶことになる.飛行機のワープっぽい動きより現実味がある.さらに,船は続けて乗ることができる.例えば,アルゼンチン→南大西洋→北大西洋→カリブ海→メキシコのようにである.これが,このマップだけの特別仕様である.

10デイズ・イン・ザ・アメリカ大陸

1プレイ目.

旅程を入れ替えることしか出来ない制限が意外と悩ましいことがわかる.近い地域を集めたつもりでも間を埋められる可能性が1国もなかったりする.ただし,かなり多くの国が「カリブ海」に面しているため,結構サクサクと進む.次でアガれる!と思ってたらちょうど手前の手番でアガられてしまった.

10デイズ・イン・ザ・アメリカ大陸

2プレイ目.

ご覧のとおり,カリブ海をたくさん引いてチートのような状態で勝利.実はカリブ海は他4つの海全てと隣接しており,さらに多くの小国と接しているため,かなり取り回しがきくようになっている.船を連続させることもできるから歩数も合わせやすく,あまり考えることなくアガることができてしまう.これは良し悪しだ.

多少懸念していたことではあったけど,とりあえず船に乗っていればオッケーな状態だったので「旅」をする感覚がほとんどもてなかった.

10デイズ・イン・ザ・アメリカ大陸

10デイズ・イン・ザ・アメリカ大陸

3,4プレイ目.(4プレイ目は,捨てカード全てから選んでいいルール)

それではということで,とりあえず船カードなしで試す.

結果的には考えどころは増えたが,今度はどうしても飛行機中心の戦略になってしまった.飛行機は色が同じ国であればどこでも「ワープ」できるから,地域性が失われ「旅」感が損なわれちゃう.

ここまでのプレイで,国境で接する国をいくつも繋げるのが,単純でかつ条件は辛いのに一番楽しい部分だということが分かってきました.

捨て札全てから選んでいいことにしたら,序盤はキツい制限下から始まって,ゲームが進むにつれて閉塞感がなくなっていくようになり良い感じ.

10デイズ・イン・ザ・アメリカ大陸

5プレイ目.

というわけで最後に飛行機2枚以上入ってるとアガれないルールを試した.

さすがに10日つなげるとなると難しいが,隣接する国が長く繋がっていく過程と飛行機をどこで使うかという部分がほどよく悩ましくなりとても楽しくなった.完成した時の達成感が全然違う.

アメリカ大陸マップは船があることが前提であるため,国同士の繋がりが他のマップに比べてかなり少なくなっている.その上で船カードをなくすと結構大きな制限になる.5プレイ目のルールは3人以上でやると誰もアガれない可能性もあると思う.

その代わり,2人プレイではほどよい緊張感を生んだ.選択肢の制限の緩和のおかげで引きゲー感は薄まる代わりにインタラクション性は下がったが,相手が持っているか持っていないかの部分は残ってるので,ソロゲーとはならない.そもそも捨て札で明示的に邪魔することはそれほど楽しさにはつながらないし.

元のゲームが非常にプレーンなので,遊ぶ人に応じて色んなハウスルールを作って楽しむのも一つの本質かなと思う.

船を含めたハウスルールが考案できなかったのは本末転倒っぽくはあるんだけど,今後への希望と,初心者に対する安心感も確かめられたので,今回のプレイはとても有意義でした.多人数で遊んだ場合ももちろん気になるので今度やろう.そんでとりあえずアジアマップをその内買います(唐突!).

最後に少し苦言を.

なんとなく素敵なパッケージ(箱絵)がちゃんとあるんだが,ゲームコンポーネントには一切反映されておらず,遊びやすさ的にはゴチャっとするよりはもちろん良いんだけど,なんとかならなかったんですかねえ.

遊びやすさと言えば,5つの海が文字だけで区別されてるんで,何かしらのアイコンでも描いてあれば良かったのになーと思います.

2 件のコメント:

  1. とても共感したのでコメント残させていただきます。

    「1プレイ目でゲームが理解できて能動的に遊べていること」
    1度目のプレイ中、又はプレイ後に次はこうしてみよう!と思えるのもはやっぱり楽しい。
    プレイ時間が長いものは今度またやりたいね!ってなるから構わないんですよね。

    身近な人がゲームを作っているのを見ていて、つながりのある人(いわゆるゲーム仲間)ではない人に「実際遊んでもらう」ところまで持ってくにはどうすればいいんだろうと常々考えています。
    出会い→実際プレイする この一歩が難しいように思います。

    普段からゲームに親しみのある人達はもちろん!!でも、せっかく作ったんだからたくさんの人達に遊んでもらいたいと思っているので、ゲームのシステム以外の部分で自分にできることはないかと考えていたりします。

    と、話がそれましたが、とても面白い内容でした。
    そして楽しみです!(←やる気)

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    1. 今度遊びましょう!

      ゲームシステムは遊ぶ段になってからが本領なので,
      普段ゲームしないような人にはシステム以外の貢献は随分大きいと思います.
      外見で楽しそう,とかカワイイ,とかとか.

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