2018年6月6日水曜日

『セブン創作ルールコンテスト』結果発表!

結果

大賞

入選

特別賞

総評

9作品,6人の方から応募がありました.

まず,募集期間も短い中で,たくさんの作品の応募をいただきましてありがとうございました.

続いて,審査完了と発表が大変遅くなり,お待たせして申し訳ありませんでした.2016年中にはもう一歩のところまで完了していたのですが,2017年に持ち越してしまったのが運のツキで,私が関西へ異動になってしまってからはほぼノーチャンスになってしまっていました.どうにかせねばと思っていたところで,先日丁度良く集まることができたので,最後の一息を一気に完了させることができました.

さて,気を取り直して総評に戻ります.募集時には総合的な判断で良い作品を選ぶとして,いくつかの基準を上げていました.全ての応募作を遊び終わってからさてどうするか,となったとき,アレコレ考えましたが結局のところ「セブンで遊ぶに相応しいかどうか」という基準が最も大きなウェイトを占めました.言い換えれば「セブンのゲームならではの良さがあるかどうか」が審査上の要点になりました.結果として大賞の『鎮魂歌』と入選の『ナナちゃん』はカード構成に沿ったテーマ性がプラス評価に働きました.システムとしてカード構成を十分に活かすことは必要条件であり,ここでは差がつきにくかったように思います.セブンのカード構成の特徴は大きく2つあって,一つは7に近いほどたくさんあること,もう一つはスートに偏りがあることです.欲を言えばどちらの特徴も活かされていることが望ましいのですが,考えてみると結構難しいことがわかります.そんな中で入選の『カウントダウン』はスートに意味がなく寂しい気持ちがあり,もう一歩!という評価になったのかもしれません.

話は変わって,他のカードセットで遊ばれているルールからの借用(というよりは移植)は大変意義のあることだと思っています.それを遊ぶとカード構成の違いというファクターがゲームの面白さとしてダイレクトに返ってくるので,カード構成の特徴を自覚するためのケーススタディになる訳です.その知見から,うまくチューニングすることを目指してもいいし,一風変わったものに発展させてもいいと思います.重要なのはそういうことの積み重ねによって良いゲームが後から後から生み出されていくんだろう,ということです.

またそれに関連する話題ですが,「ゲームとしてまとまっていること」はもちろん大事だと思います.が,それ以上に,セブンの現在の段階を考えるに「創作ゲームを見て創作意欲が湧くこと」が非常に重要だと思っています.特に今回は『セブン』の創作ルールコンテストですから,カードセットに対する「こういう解釈どう?」とか「これがならではのプレイ感だよね」とか「こうすると納得感あるよね」とか,そういうのがいま,重要だと考えた訳です.

奨励賞の『セブンダイス』は大胆にコンポーネントを追加しました.こういう方向性はもっとあってもいいと思います.大賞の『鎮魂歌』はフレーバーだけにあらず,カード構成の解釈も素晴らしいと感じました.実はその解釈だけなら『魔連山』が元祖に当たると思います.つまり何が言いたいかというと,とんでもないものでもいいからとにかくまずはカタチにしてみて欲しい!それそのものがイマイチでも,それから派生した新しく良いものができるかも!ということです.チャレンジングに!色々と!

もちろん,調整とか,競技性とか,公平性とかを気にする人も多いと思います.それもいいと思います.人によって色んな“やりたいこと”があると思います.それぞれが思い思いに創作に耽ってもらえたらなーと思っています.

そうやってセブンで楽しんでいただけたら企画者として本望です!

ぜひセブンを遊び倒してください!

今後ともどうぞよろしくお願いしますm(__)m

個別評(応募順)

ゲーム詳細についてはWikiをご覧ください.


  • カウントダウン《入選》

手札をいち早く出し切ることを目指すゲームです.

場札より小さいカードを出せば手札が減らせ,カードを出すと場札を1枚引き取らなければならないという,オーソドックスなシステムですが,プレイしてみるとピリッとしています.場札より2以上小さいか大きいカードしか出せないルールがあるからです.カードが出せないとどうなるかというと,即脱落です.この2点が緊張感を演出します.

ルール,目的もわかりやすく,とにかく死んじゃダメというのもいい.ゴールに近づくほど即死の危機が必然的に高まるというのもニクいです.

ただ,即死の危機をするっと抜けてあっさり勝つこともあるので,初プレイだと拍子抜けしてしまうかもしれないのが玉に瑕です.この点は,全員が即死をしっかり意識出来るようになることで刺しつ刺されつのドキドキのゲームになるはずです.ぜひ繰り返しのプレイをおススメします.


  • E-Calc

4枚のカードの数字を四則演算して14にすることを目指す計算パズルです.

パズルが解けたときに嬉しくなるのはこのゲームでもご多分に漏れずです.タイムアタックやスコアアタックをやってひたすら自分を高めるモチベーションのある人に向いています.多人数で競うにはストイックすぎる気がしますが,人の高度な解答を見るのは醍醐味なので,この辺りを活かした多人数用ルールの開発が待たれます!


  • セブンユーカー

2人ペア戦4人用のトリックテイキングゲームで,競りによって切り札スートと目標トリックを決めて最終的に宣言したチームがチャレンジする方式です.

ペア戦でビッドをするというのは替えがたい面白さがあり,また応募作の中で最もまじめに(競技的に)遊べるものかなと思いました.ただその良さがセブン由来なのか,もとになったユーカー系のゲーム由来なのかが判然としませんでした.ルールからは練られている感じが伝わってきましたが,プレイでその機微を感じ取れる面子で遊べていないが一番の原因です.見えないカードが多くてビッドが難しい点などを改善できれば素材の良さをより活かせるんではないかと思いました.

トリックテイキングに造詣が深い面子を揃えての審査は適わず終いでしたので,興味を持たれた方にはぜひお試しいただきたい一作です.


  • セブンフール

2人ペア戦4人用のトリックテイキングゲームで,場に何種類のスートが出たかによって勝敗が決まる方式です.

ボイドが増えやすい構造を利用して,何人がフォローできるかによってトリックの判定が少し変わるようになっているのが特徴です.7に重みがあるのもスパイスになっていてセブンらしいチューニングです.具体的に,7が含まれるトリックはそれが奇数枚なら3点で偶数枚なら-3点であったり,1人だけフォローできなければ勝ちであったり,ちょっとの違いが大きな結果の違いにつながるのでドラマチックに展開します.ただ同時にアンコントローラブルな印象も強めています.大味ではありますが,ペア戦であったり,ランクの強弱の逆転などはくなかったり全体的にオーソドックスであり,あまり外さないゲームと感じます.


  • 魔連山の冒険者たち

剣と魔法の冒険ファンタジーをテーマにした,手札マネジメント・協力ゲームであり,衝撃の問題作です.

「聖剣(A)と騎士(6)とドラゴン(7)の3枚(この組み合わせを<聖竜騎士(14)>と呼ぶ)で魔王(K)を討伐する」という一文からでも十分伝わるように,基本的に無機質になりがちなセブンのゲーム群に一石を投じるかのようにフレーバーをもりもり盛り込んだ挑戦的な作品でもあります.

単純な数字カードでのプレイで特殊効果を把握するのが大変であったり,いくつかゲームの細かい部分に気になるところはあるとして,プレイしてみると悪くなく,特にフレーバーに関しては非常に楽しいゲームです.致命的な点があるとすれば,インストに膨大な時間がかかることです.しかし,個人的にはインストが本編だとも思っていて(もし端折ったら楽しさ半減!),この作り込みを楽しみとして受け入れられるかどうかが分かれ目になりそうです.興味を持たれた方は,気の知れた面子でぜひどうぞ.


  • 鎮魂歌(レクイエム)が聞こえるか《大賞》

勇気と決断の戦記ファンタジーをテーマとした手札マネジメント・協力ゲームです.

『魔連山の冒険者たち』の続編と位置付けられていますが,最初からこれがあったと言われてもしっくりくるくらい,フレーバー,システム,ボリューム面でまとまったカタチになっています.敵と味方の数字を足して14以上になれば撃退というルールがベースにあり,そのままだと展開が平坦になってしまいそうなところ,前半は友軍の平均値を落としつつ,ストーリーを上手く絡ませながら無理なく後半の盛り上げを作っているのは見事に感じました.

強い友軍がバッサバッサ切り裂いていく爽快な動きもあり,ジックリやるべきところと思い切りよくチャレンジしなければならないところとメリハリもあります.また,マルチエンディングというのも楽しく,王子の能力(や設定)がスートシンボルと対応していて思わずニヤリとしてしまいます.

プレイヤー視点から協力ゲームとしてみたときバランスが悪いこともあるかもしれませんが,少なくとも審査時のセッションでは緊張感をもって楽しむことができました.正直に言えばシステム面ではまだ上を目指せると思います.しかし,ポテンシャルは感じますし,なにより素敵なフレーバーを楽しめつつ,プレイのコストは許容範囲に収まっていることが大賞選出への大きな決め手となりました.


  • 今夜は眠りたい

“このゲームは「ある事件」の謎を解く重要なカギをにぎる<ヒロイン>を巡って、立場の異なる4人の男たちがそれぞれの目的のために奔走する対戦型<人探し>ゲームです。”

ルールを読んで,そして実際にプレイして発見と驚きの連続でした.『魔連山の冒険者たち』とは違ったカードセットの解釈!恐ろしい!恐ろしい!とくにスートシンボル(とそのランクレンジ)に関してここまで踏み込んでしまったことに衝撃を受けました.

多くは語りませんが,『セブン』が好きな方には1プレイの価値はあると思います.


  • セブンダイス《特別賞》

スートに対応する7(色)+1個のダイスを導入してしまった意欲作です.ルール紹介ページではゴーアウトと謳っていますが,手札を減らす方法はラミー系であり,早出し=勝ちとは必ずしもならないためもう一歩ラミー系に寄っています.手札や場札を使ってセットを作るという楽しさと,ダイスによる濃厚な味付けで,新しい面白さを出せていると思いました.色に対応したダイスを導入するアイデアを先にやられてしまった個人的な悔しさはありますが,こういった(必然性のある)コンポーネントを追加するアイデアは推奨している意向もあり,高く評価しています.このアドバンテージに対して相対的には粗削りなに感じられることと,さすがにダイス7色を用意するのが難しいというところがネックとなって特別賞としました.奨励賞というのがニュアンス的には近いかもしれません.


  • ナナちゃん《入選》

強弱がはっきりした族同士のいざこざという,強いやつが強いを地でいくことを許されるテーマ設定がナイスだと思います.セブンのカード特性を無理なく生かしてメイフォロートリテに落とし込んでいます.セブンの特徴のひとつである7のカードをナナちゃんという特別な紅一点にして能力を持たせているのも良いです.

ただメイフォローなので得点のコントロールがしやすくて,点差が付きにくくて平坦な印象があります.それとナナちゃんが地味すぎるのではないかというのもあります.確かに場に対しては影響の強いカードになっているのですが,プレイする本人へのリターンは少ない(かなり安定志向)ので,例えば,リスク・リターン強めの調整になっていると良かったんではないかと思います(うまくいけば平坦な印象も和らぎそうな気もします).

こでも本当はトリテ巧者と遊んでみたい一作です.


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